江戸のキャッチコピー

江戸時代のキャッチコピーの紹介

報條分

つれつれなる真間の紅葉見。
春は上野の花の奥日くらし涼に向う嶋。
こころにうつりゆく吉原の雪の夕くれ。
足濯ぐ盥のそこはかとなく思ひまハせバ四季をりをりの楽も。
さきたつものハ口ぞかし。
いでや此世に生れて口に孝行ならぬことなく。
十王が勧進はふがため。鼻下の建立にハ。閻魔も自身に出玉ふ。
古人もすてにいへにける。
花より団子色気より喰いけ。
月の隅なきを見。花の盛りを詠るとも腹のたしは奈良坂や。このて柏にハ志かず。
東哲餅に世を避れバ。
能因餅に名を残し。盧生ハ栗餅に悟。
元政は鶉焼に諭し。
惟光子の子の餅を献じ。音八鹿の子の餅を鬻ぐ。
菖蒲団子を味わいてハ。頼政も弓を捨。大和団子を甘んじてハ。
桜田も筆を投げ。伊佐衛門が編笠焼に傾城の実をあらわし。
十左衛門が金鍔焼には。
侠客の勢を見す。
桃太郎が団子にハ。
鬼神も感じ。姝妓婦の尻餅にハ。勇者も和らき。

花に啼く鷲餅には。

是か初音の高きをいとハず。水に住む船饅頭も彼が美味名をかれり。

上戸ハこれらを山賤むれど。彼仁和寺の鼎の如き過も餅組のうへにハなく。

下戸の建たる蔵なしというへとあら打団子の名も有れハ。餅屋の蔵の酒屋に負ず。

門前にお客お得意両の手に。桃と桜が猿が餅。

もち論現金大安売。私店ハ望でハなく。待宵に三味線弾て新規普請。

新粉といふハ深川詞。まだ突出のたらハぬがち。

かちかち山の昔々兎も浪をとびたん子。拍子を揃てうっておけ。

うつの山辺の十団子も。

小粒になるとハ小判の事より唯御贔屓を代物の花と双が岡目八目。

悪き風味もよいよいとお取なし。

栄耀に餅の替らぬ繁昌。

樹に餅のなる御評判飴で餅喰ふ大入をヲソレよしか吉田の兼好