ぬい物屋加兵衛
口上
いせ宮川をわたり
中川原町ニ私方出みせ
御座候間、手代六兵へと
御たづ袮下され、京都へ
おくり荷物御用被仰付可被下候、
并て道中記さし上可申候。
以上
京の宿六かくだうのまへ
ぬい物屋加兵衛と御たずね被成候へバ
まぎれ無御座候。 ぬいものや加兵衛
一各様方之御贔屓ニ預り、先祖ながらく繁栄仕、
めうが至極ありがたき仕合ニ奉存候。
猶又此度何角相改諸事ねん入ていねいに仕候間、
不相替御入宿之程奉願上候。
近年道中筋又ハ京都入口ニて外宿女郎宿多出、いろいろと私方あしく申、
御気をまよハせ外宿すすめ候者御座候而何を申候共、
御かまひなく御入来奉願上候。