江戸のキャッチコピー

江戸時代のキャッチコピーの紹介

乍憚口上

乍憚口上
京傅作
私店之儀 中様御贔屓御取立をもつて日に増大繁盛仕、全く御得意様方御蔭故と難有仕合奉存候。
随而何がなと存付、新製の柏餅并待宵志んこと申を仕出し大安売り仕候。
扨夫ニ付、此間去る御得意様被御尋申まするハ、モシ蒲団ひとつの転寝をかしハもちと申まするハどういふいわれと申たれハ、
ハテ朝帰の猪牙船からおこつた事、なぜといやれ青楼で夜をふかすからの事じやとの御はなし、こじ付なから面白しと互に大笑ひ致し候が、
兎角大切なハ御得意様方、こふ安く商ふてハコリヤあわ焼と存れと、ほそき利久まんぢうも儲けの薄雪も木の葉せんべいかきあつめ、みちんつもつて宝の山、
かかる菓子屋を見捨て花かるやきのなき里に、すミやならへる南京落雁同然じやとおとりなし被下、
こがねの種をまきせんべい濡手で粟餅その御ひゐき御厚恩を、拙者ハ笠にかぶろまんちう、今日売出しの初音煎餅はつねのけふの玉ははき、
手に取るからにはたちまち知れる安ひうまひの御評判偏に宜しく奉希上候。以上