江戸のキャッチコピー

江戸時代のキャッチコピーの紹介

乍憚口上

あら金の土一升に。

かね一升をつなきとし。

うそをまじへぬ本町へ。

新たにひらく私見勢ハ。

すぐな。

生蕎麦の柳より。

細き手際の。

手うちそば。

各様のおこころに。

少しもそむかず。

さからハず。

おうせになひくを第一に。

先初春は四方山に咲つらねたる花かつほ。

つばなの穂先ひき抜や。

夏ハ涼ミの。

船切。

重詰。

はでな浴衣の志ぼり汁。

秋は田毎の月にのミ。

夜をふかしたる。

蒸籠そば。

冬ハ取るわけ信濃なる。

雪にさらしな。

こころの悪技。

井戸にたたへし。

水道の水ハ。

方円の器を清め。

かまどに佇。

板まへの人ハ、善悪の手際をゑらみ。

時節ハ志かも。

文月や及バぬ筆の。

御披露ハ。

ひと反切の。

ちらし書めて度かしく。

の末長く御ひいき御評判之程奉希候。以上

 

賀松桂菴店開        坪平主人述

引抜新粉雪 塩梅薬味花

本町開店後 評判此茲家

 

御出をまつやちと勢の花の客

            栄ふおそばを住よしと忘て

 

文月明日より             本町弐丁目南側

                   松 桂 菴